これまでガレージバンドを使って曲を作ってきて発見したことは、まず何よりもドラムの音を作るのは結構面倒くさいということで、ドラムの音はプリセット音源だとカスカスで明らかに打ち込みの音だとわかってしまうから、何か強烈なエフェクトをかけてごまかすか、もしくは生のドラムを録音する(これがたぶん一番難しい)のが一番良いと思うのだが、それよりも打ち込みのドラムの裏で生音のドラムの音を一緒に録音するのが一番楽でそれっぽい音になる。「バン!」という閉じた音が「バン・・・ッ! パスパスパス・・・」みたいな空間の残響音込みで録音されるから(キーは違くてもべつに良い)、それほど時間や手間をかけないでそれっぽい音になる。生音のドラムを裏で録音しようとする場合、スティックで叩くと音が大きすぎて音割れしたりして調整するのが面倒だから、菜箸などで叩いたり、指で叩くといい。でもこれは独自の方法だから、世の中にはもっと良いやり方がたくさんあるのだろう。そもそもガレージバンドじゃないソフトを使えばいいのかもしれない。でもガレージバンドのドラムでも、たとえば電子ドラムをMIDIキーボードとして使って録音すれば、タッチがより正確に、幅広く反映される。パソコンのキーボードをカチカチやってスネアやキックを打ち込んでいっても、タッチが反映されないからずっと同じ「パン! パン!」という音になる。それを後からいじって生音っぽくすることも可能だが、そういう手間暇をかけるよりも、電子ドラムに繋いで録音するか、もしくは多重録音で生のドラムなど叩いたほうがいい。でもガレージバンドのエフェクトは最初からかなり充実しているので、そこまでしなくても適当にやっていればそれらしい音に必ずなる。でもプロの音には絶対にならない・・・。
クオンタイズという機能は、ロック曲を作るときはなるべく使わないほうが吉と出る。リズムは必ずヨレていたり、ズレていたりするほうがいい。そこは直さないほうがいい。メトロノームは作動させていたほうがいい。あとでいろいろと直すときに、小節に沿っていないと恐ろしく面倒なことになる。メトロノームを作動させず、一発録りで済ませてしまうというやり方もあるから、それでもいい。とにかく見切り発車で録音をはじめてしまえば、あとはどうとでも形になってしまい、できたものを聞き返すとそれなりに健康的な満足感を得られる。適当に録って、思わず歌も録音してしまい、あとは人に聞かせれば、それだけでも結構楽しい。ギターの音作りに関しては、オーディオインターフェイスのつまみは音割れするくらいマックスにしたほうがいい。フィードバック機能をオフにして、異常値が出るくらい大きい音にしたほうが、バリバリしていて格好良い音になる。このやり方で作ったバリバリしたギターの音は、ソフト内のどのエフェクトにも勝る良い音になる。具体的にはジャックホワイトのギターの音に限りなく近くなる。良い音、というよりも正確には好きな音か。
ベースはあまり音をあげすぎるとマスタ音源の音が割れる。だから、ドラムとベースの音作りが一番むずかしい。ディアンジェロの楽曲の音など、本当にすごいと思う。シンセやキーボードなどの内臓音源も、必ず少しは自分でいじったほうがいい。ソフトウェア音源はものすごく硬くて、薄っぺらくて、偽物っぽい。だからキーボードなども、ソフトウェア内で鳴らすんじゃなくて、部屋のなかで生で鳴らした音をパソコンのマイクなどで録ったほうが空間の響きが一緒に録音されて本当の音(!)に近づく感じがする。やはり音というものは、デジタルじゃなくてアナログが本質なのか。とはいえパソコンで録音している時点でデジタルだが。
声もパソコンの内臓マイクで録ったほうがいい。マイクは買うと高いし、結局そんなに変わらない。でもそれは勘違い、というか無知なだけだ。私はちゃんとしたマイクといったものを買って使ったことがないし、オーディオインターフェイスだって1万円のきわめて安価なものしか使ったことがない。ガレージバンドは無料だ。でもそれでも何か作って良いのが音楽というか、作品というか、遊びの正しいすがたのはずだ。聴くことと、聴かせることと、作ることと、歌うことと、録ること、ぜんぶ違う。ぜんぶ完全に異なるモードで行っている運動で、そのどれもに非常に生物的な、奥行きのあるレンジがある。とはいえ聴くのが一番楽しい。いや、作ることも楽しいか。やはりまったく違うチャンネルの行動なのだろう。友達のために曲を作るのが一番楽しい。家族や恋人ではいけない。やはり遊びなのだ。